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Web標準って何?
-大藤 幹の『Web標準の基礎知識』 第1回

Web標準の2つの意味

最近になって、「Web標準」という言葉をよく耳にするようになりました。では、「Web標準」とは具体的に何を指す言葉なのかというと、ひとことではなかなか表現することができません。その理由を考えてみると、「Web標準」には大きく2つの意味が込められて使われているからではないかと思います。

Web標準は「Webの標準規格の総称」

1つめの意味としては、英語では「Web Standards」と呼ばれていることからもわかるように、「Webに関する標準規格の総称」であると言うことができます。つまり、W3C(World Wide Web Consortium:中立的な立場からWeb関連の技術仕様やガイドラインなどの策定を行っている国際産業コンソーシアム)が策定・公開しているXHTMLやCSS、ECMA(European Computer Manufacturer Association:ヨーロッパ電子計算機工業会)が策定・公開しているECMAScript(JavaScriptを標準化したもの)などの標準的な規格を指して、まとめて「Web標準」と呼んでいるわけです。

Web標準は「規格に準拠した制作方法」

2つめには、規格をほとんど無視していたこれまでのWebページの制作方法に対して、規格に準拠した制作方法という意味もあります。つまり、内部的なデータ構造などは考えずに表をあらわすためのタグや大きさを調整するための透明画像などを使って見た目だけを整えるという、これまで長く続けられてきた制作方法に対して、CSSを導入することによって表示方法に関する指定をHTML(XHTML)から取り去り、HTML側には構造を示すタグをつけてフレキシブルに情報を提供できるようにする、というのが「Web標準」の制作方法ということになります。

「構造を示すタグをつける」ことの重要性

ここで、「構造を示すタグをつける」という言葉が出てきましたが、これは言い方を変えると「その部分が文書の構成要素として何であるかを示すタグをつける」ということです。もう少し具体的な例で言えば、従来はタグで「ここは文字を赤く」「ここは太く大きな文字で」などと表示の指定をしていたところを、「ここは強調部分」「ここは大見出し」などと、その部分が何であるのかを示すタグに変えるということになります。こうすることで、文字を赤くしたり太字にすることができなくても、その環境で可能な別の強調表現や見出しらしい表現で情報を伝えることができるようになり、検索エンジンのロボットをはじめとするプログラムにも適切に情報を区別して伝えられるようになるというわけです。

Web標準にシフトするメリット

このような「Web標準」の制作手法に変更することは、制作方法が難しくなるどころか、逆に作業が簡単になって制作時間の短縮にもつながります。そして、指定通りには表示できない様々な環境(テキストブラウザや音声ブラウザなど)でも、情報内容が適切に受け取れるようにもなります。つまり、Web標準は制作者とユーザーの双方にとって大変有益なものなのです。逆に言えば、古い制作方法で作られたサイトは、今では様々な面で大変不利な状況におかれているということになります。それではなぜ、現状で「Web標準」はそれほど普及していないのでしょうか?

表示だけが重視されていた時代

実は、2002年くらいまではCSSで表示の指定を行うことは、あまり現実的な話ではありませんでした。なぜなら、当時はまだブラウザがCSSに十分には対応していない状況で、たとえCSSで正しい指定をしても、指定通りには表示されないことが多かったかったからです。しかも、当時のWebページは「どの環境でもまったく同じように表示されること」が前提として考えられていたため、「一部の環境では違う表示になる場合がある」などということは基本的に受け入れられませんでした。当時は「Webページは表示(だけ)が命」のような状況だったのです。

Webは新しい時代へ

しかし、今では状況がまったく変わりました。ユーザビリティやアクセシビリティという言葉とその重要性が理解されるようになり、SEOにも力が入れられるようになって、Webページは表示だけではなくその内部構造も重要だということが広く知られるようになっています。そして、その間にブラウザもバージョンアップが進み、CSSもほぼ問題ないレベルで使用できる状況になりました。あとは、サイトを運営する側がWeb標準のサイトを希望するかどうか、制作を依頼された側がWeb標準のサイトを作れるかどうかだけの問題なのです。

筆者プロフィール

写真:大藤幹

大藤幹(おおふじ みき)
ZSPC代表。札幌市在住。1996年よりWebの基本技術に関する書籍の執筆を開始し、2000年に独立。現在は、XHTML+CSS、Webアクセシビリティを中心としたテクニカルライティングのほか、セミナー講師、Webサイトの制作やコンサルティングなど多岐に渡り活動している。主な著書は、『詳解HTML&XHTML&CSS辞典 改訂版』(秀和システム)、『世界の「最先端」事例に学ぶCSSプロフェッショナル・スタイル』(毎日コミュニケーションズ)など。雑誌Web Designingにて『CSS Analysis』を長期連載中。

大藤 幹の『Web標準の基礎知識』

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