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情報を公開し、共有しよう
- 住 太陽の『トリックに頼らない本当のSEO』 第1回

公開されていない情報にはアクセスできない

私たちは現在、ほとんど毎日のようにWeb上の情報を利用しています。例えば、ちょっと出かけよう、といった場合でも、天気予報サイトで目的地の天気や気温を調べて服装を選択したり、乗り換え案内のサイトで路線情報を調べて出発時間を決めたり、ホテル予約サイトで宿泊施設を決めたり、ブログ検索サイトで目的地周辺の観光やグルメの情報を調べて立ち寄り先を決めたり、といった具合で、Web上の情報を利用しない日常など今や考えられません。多種多様な人々が、多種多様な情報を公開し、共有しているWebの世界は、まさに情報の宝庫のようになっており、GoogleやYahoo!などの検索エンジンを使えば、仕事のこと、生活のこと、趣味のことなど、見つからない情報などないかのようです。

しかし、残念ながら、Webを通じてアクセスすることのできない情報もまだまだたくさんあります。大きなところでは、例えば書籍に掲載されてる情報などは、Webを通じてアクセスできない情報の典型です。他にも、電子化されWebに公開されていないがためにアクセスできない、という情報はたくさんあります。例えば、これを読んでいるあなたが今携わっている業務に関することでも、公開してしまっても問題ないにもかかわらず、または公開してしまった方がメリットがあるにもかかわらず、電子化も公開もされていない情報は膨大にあるのではないでしょうか。もっと個人的なことでも、あなたが行った場所、見たもの、食べたもの、会った人、体験したことなどといった情報は、公開されていれば、いつか誰かの役に立つ可能性がありますが、そのほとんどが公開されていないのが現状でしょう。

このサイトのテーマはWebアクセシビリティであり、このサイトの「Webアクセシビリティとは?」というページでは、Webを利用するすべての人が、年齢や身体的制約、利用環境等に関係なく、Webで提供されている情報に問題なくアクセスし、コンテンツや機能を利用できることとしています。そして、僕のこの連載はSEOについてのものです。WebアクセシビリティもSEOも、前提として「Webに公開されている」ことが前提となるものです。そこでまず、本稿では「情報を公開し、共有しよう」という点について掘り下げてみます。

どんな情報でも、それを求めている人がいる

Webを使ってアクセスできる情報をより増やし、Webをより有意義なものにするための試みの一つとして、現在AmazonやGoogleが書籍の電子化や検索可能化を進めていますが、これには著作権の問題や、出版社や著者の思惑などといった困難なハードルがあり、未だすべての書籍を電子化、検索可能化するには至っていません。それでも、一冊でも多くの本が電子化され、Webを通じて検索可能になれば、その情報を求めている人にとってのWebはより有意義なものになるでしょう。なぜなら、人が求めている情報は実に多種多様で、どんなにニッチな情報であれ、どんなに古い情報であれ、それを求めている人は確実に存在するからです。

2004年10月にChris AndersonがWired Newsで記事「the Long Tail」を発表して以降、記事中でChris Andersonが指摘したAmazonやNetflixの売り上げ構成比の分布をはじめ、Webのような時間的地理的な制約を受けない空間においては、さまざまな分野でLong Tailのような分布を示すことが話題となっています。例えば人が検索エンジンに入力するキーワードの構成比の分布などは、Long Tailを示すものの典型として挙げられます。2005年4月に行われたSES 2005 Japanの基調講演では、Yahoo! Japan 検索企画室長の井上俊一氏が、Yahoo! JapanのWebサーチにおいて一日に検索されるすべてのキーワードのうち、最も多く検索されるキーワードの構成比がわずか0.79%にとどまる一方、一日に一回しか検索されないキーワードが全体の63%にも及ぶことを明らかにしています。このデータは検索者のニーズがとても幅広いことを示しており、およそどんな種類の情報であっても、検索される可能性があることを示しているといってもよいでしょう。

Webに情報を公開し、検索可能にしよう

営業担当者や窓口担当者が保有している情報のうち、顧客や利用者に知らせる可能性のある情報はすべて、公開されていれば潜在顧客や潜在利用者があらかじめそれらに目を通すことができ、契約や受付などの業務をスムーズにすることができる可能性があります。これは情報の発信側と受信側の双方にとってメリットになることです。また従来であれば情報不足から契約や利用を控えていた層にアピールすることもできます。農産物や水産物の生産流通履歴の追跡可能性(トレーサビリティ)のように、「情報が取得できる」こと自体が消費の動機になることもあり得るでしょう。逆に、競合との比較において、Web上で公開している情報量が少なかったために、より多くの情報を提供している競合に顧客を奪われるようなことも起こり得ます。

実のところ、検索エンジンを通じたトラフィックを増やすために最も効果的な施策は「公開している情報量を増やす」ということです。筆者の経験した範囲内では、情報量を2倍にすれば、必ず2倍以上のトラフィックを誘導できます。もともと100ページで構成されていたサイトを200ページに増やすだけで、検索からのトラフィックは2倍以上になり、ページビューも2倍以上になります。あらゆるサイトに共通して有効なSEO施策というのはそう多くはありませんが、単に「公開している情報量を増やす」ということで、相当以上の成果を上げることが可能なのです。それはつまり、増やした情報の分だけ、多くの人の役に立ったということなのでしょう。

プロフィール

顔写真:住太陽

住 太陽(すみ もとはる)
ボーディー有限会社 代表取締役 SEOエンジニア。1999年からウェブデザイナーとして独立。2001年には国内でいち早くSEO(検索エンジン最適化)サービスを開始、国内SEOの先駆者として、トリックに頼らない正当なSEOの普及を目指し、実務の他、執筆や講演活動を展開。講演実績は自治体や教育関連など多数。著書には、国内では初となるSEOの解説書籍『アクセスアップのための SEO ロボット型検索エンジン最適化』(エーアイ出版)や『SEO検索エンジン最適化プロジェクト― 検索エンジンからのアクセスを最大化させるWebサイト構築手法の導入と実践』(ディーアート)がある。

住 太陽のSEO検索エンジン最適化:http://www.searchengineoptimization.jp/

住 太陽の『トリックに頼らない本当のSEO』

  • 第1回:「情報を公開し、共有しよう」
  • 第2回:「検索可能性を高めよう」
  • 第3回:「検索者に優しいサイト作りとは」
  • 第4回:「情報を見つけやすくする」
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