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ガイドラインの使い方

『Research-Based Web Design & Usability Guidelines』(以下、ガイドライン)を上手に活用することの秘訣は、いかに組織内で広く普及させて利用するか、にあります。単にガイドラインをデザイナーやサイト運営者に与えるだけでは、ガイドラインを採用して利用することにはなりません。

誰にどんなメリットがあるのか

ガイドラインは、4つの主要な読者にメリットを提供します。

デザイナー
ガイドラインは、デザイナー(特に、新人)が Web サイトを企画したりデザインしたりするときに考える必要のある事柄を明確にします。ガイドラインを適用することで、"個人的な主観" によるデザインのマイナスを削減するでしょう。そして、調査研究に基づいた解説を参照することで、デザインチームのメンバー間の意見の相違からくる衝突を減少させることができます。
ユーザビリティ専門家
ガイドラインは、ユーザビリティ専門家が Web サイトのデザインを評価するのにも役立つでしょう。例えば、ユーザビリティ専門家は、Web サイトの評価作業中にこのガイドラインをチェックリストとして活用することができます。また、各ガイドライン項目にある "重要度" および "実証度" にフォーカスを当てて、チェックリストをカスタマイズすることも可能です。例えば、ユーザビリティ専門家は、Web サイトの成功に関係のある最も重要なトップ25の項目だけに絞り込んだチェックリストを作成することができます。
Web サイト運営者
ガイドラインにより、Web サイト運営者は、デザイナーが Web サイト制作時に直面するユーザビリティおよび Web デザインにおける広範囲に及ぶ問題の全体像を把握し、深く理解することができます。また、ガイドラインは、デザイナーに対する "ユーザビリティの基準" を Web サイト運営者に提供します。Web サイト運営者は、関連するガイドライン項目に準拠することをデザイナーに要求でき、優先順位を設定するのにガイドラインを利用することができます。例えば、限られた時間の中でデザインしなければならないときには、各ガイドライン項目に "重要度" のスコアがつけられているので、Web サイト運営者は Web サイトの成功に最も重要であると考えられるガイドライン項目に絞り込むことが可能です。そして、デザイナーにはその絞り込んだ項目を実装することに集中してもらうことができます。
研究者
Web デザインおよび Web サイト構築プロセスを評価する研究者は、新しい調査研究が必要とされている部分を見極めるのにこのガイドラインを利用することができます。研究者は、各ガイドライン項目に提供されている根拠の出典を用いて、すでに実施された調査研究を評価したり、過去の調査研究結果の正当性を高めるために必要な追加調査の有無を確認したり、あるいは調査研究結果に異議を唱えたりすることが可能です。おそらく、もっと重要なのは、研究者はこのガイドラインおよびその出典を活用して、新しくて重要な調査研究テーマを考案できることです。

ガイドラインの様々な活用法

Web サイトの制作作業において、このガイドラインを活用する様々な方法があります。ガイドラインを最初から最後まで読むことで、全てのガイドライン項目に精通することができます。また、Web デザインにおける特定の疑問に対する答えを見つけるための参考にすることも可能です。

このガイドラインは、ほとんどの Web サイトのニーズに応じてカスタマイズすることができます。カスタマイズするにあたっては、以下に挙げる幾つかの方法が考えられます。

  • Web サイト運営におけるキーパーソンおよび / あるいは意思決定権を持つ人にガイドラインの全項目をレビューしてもらい、その Web サイトのデザインにおけるニーズに合ったガイドライン項目を特定してもらいます。例えば、ある Web サイトはポータルサイトで、(その Web サイト内のコンテンツへのリンクではなく)他の Web サイトへのリンクだけにフォーカスしているとします。その場合は、コンテンツに関する章ではなく、"リンク" および "ナビゲーション" の章からガイドライン項目をピックアップするでしょう。
  • ピックアップされたガイドライン項目を、その Web サイトですでに使用されている既存の基準およびガイドラインとマージします。デザイナーが参照すべきドキュメントあるいはオンライン・ツールの数を減らすことにつながり、このガイドラインと既存の基準およびガイドラインが実装されることを促進するでしょう。

"重要度" および "実証度" のレーティングを、実装するべきガイドライン項目の優先順位付けに活用することができます。例えば、重要度別ガイドライン項目リストには、ガイドライン項目の重要度で順に並んでいます。このリストを用いることで、デザイナーは最も重要な 25 あるいは 50 のガイドライン項目に意識を集中させることが可能です。そして、"実証度" によるレーティングは、デザイナーが最大の信頼を置けるガイドライン項目を決めることができます。逆に、"実証度" のレーティングの低いガイドライン項目は、ユーザビリティ・テストに時間を割くべき部分を示しているとも言えるでしょう。

加えて、ベン・シュナイダーマンは、ガイドラインをより効果的に適用する4つの方法を提案しています。それは、教育、強制、免除、そして強化です。ガイドラインを効果的に実装するための他の方法を考えるには、氏のまえがきを読んでください。

ガイドラインを実装したり、カスタマイズしたりするためのアイデアが他にあれば、それを共有するために、webguidelines@mail.nih.gov に Eメールでお送りください。

ガイドラインを利用する前に考えるべきこと

ガイドラインは、情報提供型の Web サイトのデザインおよびユーザビリティを改善するために作成されたものです。しかし、それ以外の広範囲に及ぶ Web サイトにも適用可能です。ガイドラインを利用する際には、以下のことを念頭に置いておくとよいでしょう。

  • 各章ごとに、ガイドライン項目が "重要度" に応じて並んでいます。つまり、最も重要なガイドライン項目は章の後半ではなく前半にあるということです。"重要度" のレーティングが "1" あるいは "2" になっているガイドライン項目を重要ではないと考えてしまうでしょう。しかし、少なくともこのガイドラインにある全ての項目はレビュー段階で "ある程度重要" であるとされたものばかりです。そうでなければ、このガイドラインの項目としては最後まで残っていなかったでしょう。それゆえ、レーティングが "1" あるいは "2" になっているガイドライン項目もやはり重要なのです。ただ "4" あるいは "5" の項目よりは重要度が低いというだけです。
  • ガイドラインは、全ての利用者やコンテンツに適用できるとは限りません。例えば、リテラシーやスキルの低いユーザーに利用されている Web サイトには適用できない可能性があります。このガイドラインは、18才~75才までの大人のためにデザインされている英語の Web サイトに適用されるものです。
  • ガイドラインは、デザイナーの経験(習熟度)を十分に考慮できていないかもしれません。例えば、デザイナーの中には、ある特定のユーザー層あるいは文脈のためのデザインに特化した知識を持っている人がいます。このガイドラインには、順応性はありますが、確立したルールではありません。
  • ガイドラインは、Web デザインおよびユーザビリティに関する全ての原則から全ての根拠に反映していないかもしれません。人的要因、認知心理学、コンピュータ科学、ユーザビリティおよびテクニカル・コミュニケーションを含めるなど、考えられうる努力はなされました。しかし、このガイドラインに反映されていない価値のある調査研究結果を有する他の原則があるかもしれません。
  • "実証度" のレーティングには、特定の問題に関する調査研究が不足しているがために低くなっているものがあります。各ガイドライン項目にある "実証度" のレベルは、調査研究に基づいた根拠を評価するためのものですが、同時にまた専門家の意見を含む経験知に基づいた根拠も認めています。"実証度" のレーティングが低いことは、まだ検証されていない問題の調査研究の実施につなげていくべきです。
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